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未知のウイルスへの対応力が違います。「ESET Smart Security」 公式サイト
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ニホンカワウソ
ついにニオンカワウソが「絶滅種」になってしまいましたね。
環境の変化、毛皮目的のための乱獲。
全て人間が絶滅させたのです。
九州にはツキノワグマ・ゲンゴロウ等さえも生息しないといいます。
魚を主食にしていたカワウソなので、もしかしたら人間が踏み込めないような奥深い川に生息していることを願いたいものです。
人間の目で生息が確認されていないだけですから、もしかしたらの可能性もあります。
あの≪クニマス≫さえも絶滅種に位置づけされていたわけですから。
下記のURLをクリックするとカワウソの写真が掲載されています。
朝日新聞デジタル
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テーマ:ビオトープ - ジャンル:地域情報

【 2012/08/29 12:27 】

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遺伝子の地域性
皆さんは子どもの頃サワガニを捕まえたことはありますか?青森から屋久島まで広く日本で見られるサワガニは地域によって(場所によっては同じ県内でも)茶褐色、淡青色、朱赤色など色が違っていることが知られています。なぜこのような現象が起こるのでしょうか?
サワガニは日本の固有種で、カニの仲間では珍しく一生の中で一度も海へ出ることなく淡水(小川や沢)で過ごします。またメスは産卵~ふ化~稚カニに育つまで、子どもを腹部に抱えています。ですから卵生に比べて
川に流されるなどの可能性が低いことから、比較的移動性が低いと言われています。
世代交代の際にも近い場所に暮らすもの同士が交配することが多いので、その地域の地質や砂や石の色、植生などが影響して、そこで生き延びるのに最も適した色や形が親から子へ色濃く受け継がれていると考えられています。
同じ種でも異なる地域環境に生息する場合、その種ごとのまとまりを「地域個体群」と言います。
サワガニの場合、移動範囲が狭いために他の地域個体群と遺伝的に交わる事が少なく、受け継がれる遺伝子も特に地域性が高いので、結果として地域による大きな体色の違いが見られると考えられています。
同じ種でも遺伝子に地域差があり、進化の歴史の中で培われた生き残り戦略がDNAに凝縮されているんですね。
ではこれはサワガニだけに見られる現象なのでしょうか。
いいえ、違います。これは皆さんがお住まいの地域でも、小笠原諸島でも、
地球上に暮らす全ての生物に共通して起こっている現象です。
小笠原諸島の固有種は長い年月をかけ系統が分かれるほど分化が進んだ事例であり、皆さんの住む地域で暮らす生物も、その環境に適した遺伝子を持っています。
同じ種でも地域ごとに鳴き声や繁殖シーズンが微妙に違っていたり、昆虫の中には地域によって生殖器の形が違っているものさえいます。
すでに絶滅危惧種として有名になってしまったメダカですが、メダカも水系ごと遺伝子形質が異なります。
ですから身近な水辺でメダカが見られなくなったからと言って、遠く離れた場所からメダカを連れてきて放流することは、ヒトには良いかもしれませんが、メダカにとっては実は生死にかかわる大切な性質を失わせることに繋がっているのかも知れません。
自然界で起こりうる範囲を超えて、人為的行為により異なる地域個体群の遺伝子を交雑するということは、その地域独特の環境変動や病原菌への抵抗性など、生き残るために必要な遺伝的特徴をうち消してしまう可能性があるのです。 
遺伝子の多様性は、種の存続のための重要な戦略の一つです。皆さんの身近な自然環境で暮らす生物にも、命をつなぐための戦略が遺伝子に組み込まれています。ヒトが意図せずこれを妨げてしまうことのないよう、地域ごとの
遺伝子の多様性を尊重した活動が求められています。
 
【参考文献】滋賀県小中学校教育研究会理科部会編 
  滋賀の水生動物 図解ハンドブック  

■ 発行:人と自然の研究所 http://www.bio-inste.com
■ 「ビオトープってなんだ!」 http://www.bio-inste.com/merumaga.htm
■ バックナンバー http://archive.mag2.com/0000145229/index.html
【 2011/12/23 09:34 】

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奇跡の島が伝えたいこと
くるしい目をしたイルカとドルフィンスイムを楽しみ、ホエールウォッチングではその雄大な姿に圧倒され、そして世界自然遺産に登録された豊かな自然に囲まれる…
さて、問題です。いったいここはどこでしょう?
…正解は、日本の首都「東京」です!本土から南に1000km、東京都小笠原村。
去る6月24日、ユネスコで開かれた第35回世界遺産委員会において、小笠原諸島が世界自然遺産に登録されました。
小笠原諸島は海底の火山活動で噴出した溶岩が積み重なってできた海洋島です。
一口に島ができると言ってもその起源は5000万年の地殻変動に由来すると言われ、現在の場所で島の形になったのは少なくとも200万年~300万年前と推定されています。
また海から顔を出した生まれたての海洋島には人類はもちろん、生物の姿はありません。
今いる動植物はすべて広大な海を渡ったり、風に乗って運ばれたりして、とてもわずかな確率で新しい環境に定着することに成功したものの子孫です。自然界の生命力の強さには改めて驚かされますね。こうして海によって隔てられた空間の中で、彼らは独特の進化を遂げてきたのです。
もともと同じ生物が様々な環境の違いによって、そこに最も適した暮らし方や体の特徴を身に付け、長い年月の中で多くの異なった系統に別れることを「適応放散」と言います。
例えば陸産貝類(カタツムリの仲間)の小笠原固有種であるカタマイマイの仲間は大きさが数mmの小さな種類もあり、細かな環境の差に適応した種分化が見られています。
木の上で生葉を食べるもの(樹上性)、地上で落葉を食べるもの(地表性)、樹上だけでなく地表にも降りるもの(半樹上性)など生活スタイルも様々です。殻も樹上性のものは小さくて背が高く、半樹上性のものは扁平、地表性は背が高く大きな殻を持つというように、暮らし方と体の形が密接に関係していることが分かっています。
現在の研究では数百万年の歴史の中で、カタマイマイ属は1種の祖先から29種(現生種19、化石種10)に分化が進んだことが解明されつつあります。
このように小笠原諸島の生物は、氷河期や地殻変動による隆起など、長い年月の中で人間には想像の及ばない大きな環境の変化に耐えながら、その場所で命を繋いできました。
その結果として多様な分化を遂げ、多くの固有種が生まれているのです。
世界自然遺産として注目され、その自然の美しさばかりがクローズアップされがちですが島の長い歴史やその存在を生んだ自然界の仕組み、そして奇跡のような確率で培われた唯一の存在の尊さにも思いをはせてみてはいかがでしょうか。
小笠原の島々が本当に伝えようとしていること。それは今回の登録を通じて、ひとりでも多くの皆さんが自然界のスケールの大きさを感じ、その営みの中で私たちが自身も生かされていることを改めて考えることなのではないでしょうか。それが世界自然遺産登録の意義をより深めることに繋がると思います。

〔参考文献〕
小笠原諸島に学ぶ進化論 清水善和 著 (技術評論社)

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【 2011/09/01 05:17 】

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森は海の恋人?
 国際森林年の今年。前号では伐材や国産材を利用することが森の再生につながるという事を書きましたが、今度は森と海の深いつながりについてお伝えしたいと思います。
(バックナンバーはこちら→ http://archive.mag2.com/0000145229/index.html )

 前回ご紹介したシンポジウム「森と海をつなぐ日本の再出発」で、震災後の気仙沼の様子や復興の状況についてお話ししてくださった畠山重篤さん。畠山さんはカキの養殖業を営みながら、「NPO法人 森は海の恋人」の代表も務め、森で植林を行っています。しかし何故、漁師が植林なのでしょうか?そこには、科学的にも証明された重要な
海と森の関係性があったのです。
 カキの養殖は、海でも汽水域といって、淡水と海水が混ざる水域でよく行われています。そのポイントは、川から流入してくる淡水にあります。
 カキは植物プランクトンを食べて育ちますが、植物プランクトンは陸の植物と同じく、窒素、リン酸、カリウムといった養分が必要で、特に窒素をたくさん必要とします。海ではその窒素を硝酸塩という物質からとることになるのですが、その際、硝酸塩から窒素を得るためには「鉄」が必要で、あらかじめ体に入れておかなければならないのです。
 しかし、海には鉄が不足しているため、川の水に含まれる鉄が重要になってくるのです。しかし、ここで一つ問題があります。鉄はすぐに酸素と結びつく性質があり、結びついた酸化鉄は粒が大きく細胞膜を通れないので、植物プランクトンに吸収されにくいのです。
 そこでポイントとなってくるのが、実は腐葉土なんです。森で落葉広葉樹が落としたたくさんの葉っぱが腐り、腐葉土になるときに、フルボ酸という物質ができます。そのフルボ酸は鉄と結びつきやすく、フルボ酸鉄となり、酸素と結びつかずに森から川、そして海まで流れ込むのです。フルボ酸鉄は粒も小さく、そのまま植物プランクトンに吸収されるので、植物プランクトンは硝酸塩から窒素を得やすくなるのです。
 ですから、上流に豊かな森があり、きれいな水が流れ込んでいる海は、プランクトンの量が通常の30倍から100倍になるところもあるらしいのです。
 そうなると、カキだけではなく、植物プランクトンを食べる動物プランクトン、動物プランクトンを食べる小魚、小魚を食べる大きな魚もみんな増えて、豊かな海がつくられるのです。
 森は、川を介してしっかり海とつながっており、森が川や海の生きものたちを育む重要な役目を果たしているんですね。まさに、森は海の恋人なんです。
 こういった事実を知った畠山さんは、気仙沼に流れ込む大川の上流にある室根山に、ミズキやミズナラといった落葉広葉樹を植林する活動を1989年から始められたのです。
 しかし、わざわざ植林活動を始めたのは、森が健全ではなくなってきていたからとも言えます。日本の多くの森は1950年代に実施された拡大造林政策により天然林から人工林に変わり、腐葉土になりにくいスギなどの針葉樹林が増えました。おまけに管理もしなくなり、森は荒れていきました。また、川にはダムを作り、森と海のつながりを絶っていったのです。
 それによって多くの自然の恵みを失っていったことを、どれだけの人たちが気づいているでしょうか。
 3月11日、気仙沼は大震災に見舞われ、畠山さんも壊滅的な被害を受けられました。しかし、今回の津波でさえも、「森から海に託された栄養を、海が再び返してくれたのかもしれない。」とおっしゃっています。
 海が、森や大地とどうつながっていて、どれだけ壮大なサイクルを繰り返しているか、そしてその中で恩恵を受けながら人間が生きているということをちゃんと分かっていなければ、けして言えない言葉だと思います。
 「NPO法人 森は海の恋人」の植林活動は、震災後も再開して続けているそうです。これからもこのような活動から、森と海のつながりが多くの人たちに伝えられていくことを、心から祈っています。

「NPO法人 森は海の恋人」ホームページ  http://www.mori-umi.org/ 

〔参考文献〕
畠山重篤 著 『漁師さんの森づくり 森は海の恋人』 講談社 2000年

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【 2011/06/29 18:06 】

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復興から始まる再出発
 5月12日、東京都港区の青山で緊急提言シンポジウム「森と海をつなぐ日本の再出発」が行われました。NPO法人ドングリの会と、人と自然の研究所が東京事務局を務める財団法人C.W.ニコル・アファンの森財団が主催し、理事長のC・Wニコル氏もスピーチを行いました。

 このシンポジウムでは、オークヴィレッジ株式会社代表の稲本正氏からのメッセージや、この度の震災で大きな被害を受けた気仙沼でカキの養殖業を営みながら、海と森のつながりを伝える「NPO法人森は海の恋人」の代表も務める畠山重篤氏の震災の実体験なども聞くことができました。

詳細は以下のサイトをご覧ください。
オークヴィレッジ株式会社HP http://www.oakv.co.jp/new/1105_spiral.html
財団法人C.W.ニコル・アファンの森財団HP  http://www.afan.or.jp/iyof2011/110512.html

 その中で、オークヴィレッジの稲本正氏から、「復興住宅」の提案がありました。仮設住宅ではない、「復興住宅」とはいったいどのようなものなのでしょうか?

 プレハブなどの仮設住宅は、使用後はいずれ廃棄物となり、その処理が問題となります。そこでオークヴィレッジは、国産の間伐材やスギを有効活用し、再利用可能な工法と材料により「仮設住宅」にとどまらない、長期的にも住むことができる木造住宅を「復興住宅」として提案したのです。

 これは、日本で急務になっている震災で被害を受けられた方の住宅の確保と、間伐材や国産材といった材を有効に活用することで森を守るという活動が一体となった提案です。

 なぜ間伐材や国産材を活用することが日本の森を守るのに重要なのかは、これまでにも何度か書いてきましたが、みなさんは人に伝えられるくらい覚えていますか?

 現在の日本の森林の約4割は、1950年代に実施された拡大造林政策により、あえて天然林を伐り、そのあとにスギやヒノキを植えた人工林です。その人工林は、外材が安く手に入るようになったことで放置されてしまい、今は暗い森となっているところがほとんどです。

 また、かつて里山と呼ばれた森は、化石燃料など様々な現代の文明によりその価値を失い、人が手を付けなくなってしまったことで荒れた暗い森になっています。

 光りのない暗い森は、多くの植物にとって生長が難しい環境であり、人工林は単一樹種になってしまうことが多く、それでは森ではなく木の畑です。里山も植物の種類は少なくなり、藪のような森になってしまいます。そんな場所ではもちろん生きものも少なくなってしまいます。

 そのような森を豊かな森に再生するために必要なこと。それが、木に価値を持たせ利用することです。木に価値がでてまた木を伐るようになれば、再び森に光が入り、様々な植物が芽生え、様々な生きものたちも戻ってきて、多様性豊かな森になっていくのです。

 そしてできれば、木はその土地本来の植生に戻していくことが、真の再生といえるのではないでしょうか。

 ですから、間伐材や国産材を積極的に活用することは、その需要を高め、国産材の伐採を進めることになり、森の再生に繋がるのです。

 今年は国際森林年ということで、関連する様々なイベントも企画されています。その中には、やはり植樹祭が多くあるようですが、それ以外に間伐祭といったイベントがあってもいいのかもしれませんね。

 そして一番大事なのは、この森林年を今年だけのものとするのではなく、森林再生のスタートの年とし、昨年の生物多様性年も含めた、新たな日本の再出発の年にしていくということです。

 あの大震災から2ヶ月半が経ちますが、このピンチを日本の再出発のチャンスととらえ、「復興住宅」から森を再生するようなモデルを実現していき、そういった例を今後もっと増やしていけるようにしたいですね。

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【 2011/06/02 21:07 】

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自然も人も遷移する
 東北地方太平洋沖地震から約一ヵ月半。深く大きな傷跡は、まだまだ癒えることはありません。犠牲になられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被害に遭われた方々に心からお見舞い申し上げます。
 そんな中、4月中旬に仙台で桜が咲いたというニュースが流れていました。震災が起こった後、時間が止まったような気がしていましたが、そんな時も自然は立ち止まらずに生長を続け、移り変わっていくことを思い出させるニュースでした。
 移り変わっていくこと。それを一般的に「遷移」といいますが、生態学でも、ある地域における生物群集の構成などが時間とともに移り変わっていくことを「遷移」といいます。
 「移り変わり」というと、四季の移ろいを最初に想像する人も多いと思いますが、ここでいう「遷移」というのはそれよりも大きなスケールで、長い時間の中でその地域を構成する草や木の種類が変わっていくことをさします。
 例えば、火山の噴火によってできた溶岩原のような裸地には、最初にコケ類などが進出してきます。ついで水や養分をあまり必要としない一年生のイネ科やキク科の植物が進出し、草原となります。これらによって徐々に土壌が形成され、やがて根や地下茎が発達した多年草の草原となります。
 それから、太陽の光をたくさん必要とする陽樹の種子が風や鳥によって運ばれ、生長し、低木林から徐々に陽樹林になっていきます。陽樹林の葉が樹冠を覆うようになってくると、林床は暗くなって若い陽樹は生長しづらくなり、代わりに光りが少なくても生長できる陰樹が生長してきます。その陰樹と陽樹の混生林も徐々に移り変わり、最終的には陰樹が優先する陰樹林となっていきます。
 遷移は、最終的にその土地の様々な条件にあった植物群集に安定していきます。最終的に最も安定した植物群集を「極相」といい、上記の例では陰樹林が極相となるのが一般的です。
 また、まったくの裸地からの遷移を主に「一次遷移」といいますが、それよりも多く見られるのは、山火事や台風、そして今回のような津波などで植生が失われた状態からの「二次遷移」です。この二次遷移はまだ土壌中に栄養もあり、種子も存在している状況なので、一次遷移よりも早く極相に向けて遷移していきます。
 自然はどんなに破壊されようとも、その直後から再び新しい命が生まれ、生長し、少しずつ、でも着実に命が遷移していくのです。
 それとは逆に、人が手を加えなければ何も変わっていかず、むしろ劣化していくのが人工物です。
 壊れたものは人の意思でしか直らないですし、そのまま放置すれば自然に還るのに何千年もかかってしまうものが多いです。忘れられた人工物は、時が止まったようにたたずむだけです。勝手に遷移はしてくれないのです。
 ただ、そこに人間の意志と技術があれば、それは再生し、生まれ変わらせることもできます。
 しかしながら、人間がコントロールできない人工物もあります。それが放射能、放射性物質です。
 放射能について専門的なことは書けませんが、その汚染が長期にわたって続くことは、今や誰しもが知っていることでしょう。放射性物質によっては、半減期が45億年というものもあります。
 その生み出された放射性物質は、自然に還って他の命の糧になることもできず、ただただ生物を汚染し続けるのです。なんと悲しい運命でしょうか。
 そんなものを人間は生み出し、その危険性を分かっていながら、使い続けているのです。
 自然は、常に止まらずに生長し、命を繰り返しつないでいこうとします。その積み重ねが大きな流れとなって、少しずつではあるけれども、その土地の条件にあった環境に遷移していきます。
 私たち人間は、人工物ではなく、生きものです。ですから、どんな困難があろうとも、止まらずに成長し、命をつないでいけるはずです。自然に習って街や村を、その土地にあった環境に遷移させていくことができるのです。
 今回の震災は本当に深く大きな傷を残しました。しかしそれでも、私たちに未来はあります。
 気仙沼の唐桑半島でカキの養殖業を行いながら、海と森のつながりを伝える「NPO法人 森は海の恋人」の代表も務める畠山重篤さんは、今回の津波で壊滅的な被害を受けたお一人です。しかし、畠山さんは「海を恨んではいない。森から海に託された栄養を、海が再び返してくれたのかもしれない。」とおっしゃっていました。これも自然の大きな営みの一つと捉えて、前を向いて進んでいらっしゃるんですね。
 私たちもこれまで以上に、ちゃんと地球のこと、自然のことを想いながら、みんなでこれからの暮らしを考えていきましょう。
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【 2011/05/06 05:17 】

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環境と体と生き残り戦略
今年は国際森林年ということで、前号では森についてお伝えしました。その中で、森やその他の自然も全て、地域ごとに構成する種や遺伝子が違う、独自の生態系をつくっていると書きました。
(バックナンバーはこちら→ http://archive.mag2.com/0000145229/index.html )
 生態系の生産者として環境のベースを築いている植物が地域ごとに違うということは、当然生きものも地域ごとに違います。38億年前に生命が誕生してから長い時間をかけて、地理的な緯度・経度などによる温度や降雨量(湿度)等の環境条件の違いや、生物の関わりあいによってそれぞれの地域の自然環境がつくられ、そしてその地域ごとに適応した生きものが生息しているのです。
そういったことを、生きものの体の形や色で見てみると、その環境に生きている理由が少し分かってきます。

 それには、いくつかの法則があります。

 地球に生息しているクマの仲間は体の大きさも様々で、例えば、マレーグマ<ツキノワグマ<ヒグマ<ホッキョクグマ、といったような順番で大きくなっています。
実はこれは、生息地が寒い地域になればなるほど体が大きくなっているのです。
これは、恒温動物に当てはまる法則でベルクマンの法則といいます。寒冷地になるほど恒温動物は体温を奪われやすいですから、ホッキョクグマは体を大きくすることで、体に対しての体表面積を小さくし、極力体温を逃がさないようにしているのです。
逆にマレーグマは、体を小さくすることで、体に対しての体表面積を大きくし、体温が発散しやすくなっているので、暖かい地域で暮らしやすいのです。
また、これと似た法則でアレンの法則というものがあります。これは、耳、足、トゲ、尾等の突起物は、暖かい地域の動物に比べて寒冷地のもののほうが小さいというものです。これもベルクマンの理論と同じで、体表面積によるものです。
この二つの法則は、主に温度の差などの環境条件に適応するために生じた体の違いですが、生きものはそれ以外に、生物同士の相互作用など様々な要因で、体の形や色が違っています。
例えば、カミキリムシの仲間のトラフカミキリは、体をハチのような色や柄に似せることで危険だと思わせ、捕食者から身を守っています。
逆に、体の一部などをエサのように真似て、それを狙う生きものを捕食するという攻撃型の生物もいます。チョウチンアンコウなどがそうです。
前者はベーツ擬態、後者はペッカム擬態といいます。これらの「擬態」は、捕食者と被食者の関係によるもので、捕食者から逃れたり被食者を捕らえたりするために、体の形や色を別の生物などに似せているのです。
こういった「捕食者と被食者」のような生物間の関係が原因で、お互いが生きるために長い長い年月をかけて形や色を変えていくことを、「共進化」と呼んでいます。
マダガスカルのアングレクムというランの仲間は、花弁の付け根にある管のような「距(きょ)」という部分が約30cmもあり、その奥に蜜を貯めています。こんなにも長い距の奥にある蜜を吸える生きものはなかなかいませんが、唯一、キサントパンスズメガというガの仲間だけが、その蜜を吸える30cm以上の長い口吻をもっています。
これは、ある一種だけに蜜を与えて花粉を運んでもらうことで受粉の効率をあげたい、というアングレクムの戦略と、生き残るためにある花の蜜を独占したいというキサントパンスズメガの戦略が、長い年月の関わりあいの中でお互いに一致し、共に進化していった結果です。これも、生物間の関わりあいの中で形を変えていった共進化です。
このように、生きものは様々な環境条件や生物間の関係の中で生き残っていくために、長い長い年月をかけて体の色や形を変えるなどして、その地域の環境に適応してきました。
しかし実際は、たまたま適応していた変異個体だけが生き残っていったのかもしれません。その真相は明らかではありませんが、確かなのは、今いる在来の生きものは長い歴史の結果、自分が適した環境条件のある場所に棲み、他の生物と相互に良好な関係を保った、適した暮らしをしているということです。
だから、人間の手でそれを一瞬にして変えてしまうようなことは、絶対にしてはいけないのです。
これから何か生きものを見た時に、何故そういう形や色をしているのか、ちょっと考えてみてください。そこには生きものが今まで生き残ってきた秘密が、隠されているかもしれません。

〔参考文献〕
三島次郎 著 『トマトはなぜ赤い』 東洋館出版社 2002年デービット・アッテンボロー 著
『植物の私生活 THE PRIVATE LIFE OF PLANTS』 山と渓谷社 1998年

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【 2011/03/04 12:23 】

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